会計

インドの会計・税務は日本とは異なる点が多くあります。特に税務・税制に関しては中央政府と州で制度が異なるなど複雑で注意が必要です。インド進出にあたっては事前によく調査・検討し、どの州や都市で事業を行うか、進出先の選定を行うことも重要なポイントです。
当ファームでは日本とインドの税務・会計専門家が進出前の事前検討段階から進出後の申告までの支援までワンストップで貴社のインドへの進出支援をさせていただきます。
会計基準
インドの会計は勅許会計士協会が作成した会計基準(AS)に基づいて作成・発行されます。
財務諸表
インドの財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、注記で構成されます。(中小会社についてはキャッシュフロー計算書の作成は任意です)
決算期
2013年会社法では、全ての会社の会計年度は4月1日より翌年3月31日となります。しかし親会社や持株会社との整合など必要がある場合は、当局の事前許可を得て別の会計年度を採用することができます。(その場合でも課税年度は4月1日から翌年3月31日です)
税務
税の種類
インドの税制は中央政府と州それぞれが徴収する税があり複雑なものになっています。
中央政府の税では、直接税として、個人所得税、富裕税、法人税等があり直接税中央委員会(CBDT)が管轄しています。また、間接税として、関税、物品税、中央売上税(CST)、サービス税等があり、間接税中央局(CBEC)が管轄しています。
州政府の税には、間接税として、付加価値税(VAT)、入域税(Entry Tax)、印紙税等があります。日本のように法人や個人の住民税はありません。
法人税
課税年度 | 4月1日から3月31日 |
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申告期限 | 9月30日 |
法人税率 |
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前払税 (Advance Tax) |
6/15、9/15、12/15、3/15 法人税を見積もって予定納税し、不足分は申告時までに納税します。 |
申告時提出書類 |
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欠損金の繰越 | 8年ですが、期限内申告でない場合は繰越しできません。 |
最低代替税 |
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連結納税制度 | インドに連結納税制度はありません。 |
過小資本税制 | インドに過小資本税制はありません。 |
移転価格税制 |
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PE認定 | 移転価格税制と並び税務当局と争いになりやすいのがPE認定です。インド子会社を設立し販売代理店として活動した場合や駐在員事務所を設置した場合、代理店PEとして認定され親会社利益についても課税されるリスクを減らすため注意が必要です。 |
個人所得税
課税年度 | 4月1日から3月31日 |
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申告期限 | 7月31日 |
居住者判定 | 下記のいずれかの場合居住者となります。居住者以外が非居住者です。 ①その年度に182日以上インドに滞在している ②その年度に60日以上インドに滞在し、かつ、過去4年間に通算365日以上滞在 |
課税の範囲 | 居住者については全世界所得に対して課税、非居住者についてはインドで受領したあるいは発生した所得に対して課税されます。 居住者はさらに、通常居住者(ROR)、非通常居住者(RNOR)に分けられ課税の範囲が異なります。 |
所得税率 | 日本と同様、累進税率です。所得により10%~30% 高齢者の場合非課税の限度額が高くなっています。 所得税額に対し教育目的税3% 所有する財産が300万ルピーを超える場合、1%の富裕税が課されます。外国人についてはインド国内に所有する財産が対象となります。 |
源泉徴収 | 日本と同様、給与を支払う事業者は源泉徴収義務があります。 |
日本人出張者への課税 | 日印租税条約により、その年度のインド滞在日数が183日を超えないなど一定の要件をみたせば、インドで課税されません。 |
間接税
品税、中央売上税、付加価値税、サービス税など間接税の種類が多く、インドの税制を複雑でわかりにくいものにしています。そのため、これらを整理統合した商品サービス税(GST)導入の検討がされています。